石黒の方言

生 活 編  
2100
音 声
〔Narrator〕
大橋トシヲ
おらとっつぁ、山へきぃーきりにえってがねぇ うちの父ちゃん、山へ木切りに行きましたよ
あのきかずが、ほんに、ごぉが 煮いるえやぁ
あのきかん坊が、ほんとに、肝が焼けるよ(頭に来るよ
ほんに、あの子はきかん子

      (利かん)
ほんとうに、あの子はきかん坊

早くきけぇてやまへえげぇ 早く着替えて田畑に〔手伝いに〕行きなさい
きげぇ、忘れんな 着替え、忘れるな
あの、ちゃっかつばさが、はえ聞こえ付けて来たがね あの、おせっかいばあさんが、もう聞きつけて来ましたよ
ネラ、おじさのきせろ、わさ するんじゃねぇぞ おまえたち、おじいさんのきせる、いたずらするんじゃないよ
なんだか、きそきそ(きちょきちょ)したシトだのう なんだか、落ち着かない人だねえ
ほんに、トッツアが戦死したどきは、きちげぇになりそげだったえね ほんとうに、夫が戦死した時には、気違いになりそうでしたよ
きょは、きちげぇぞらで、降ったり照ったり、えそがしのう 今日は、気まぐれ天気で、降ったり照ったり、忙しく変わりますね
雨が降ると、道がぎちゃっぽくなるすけ裸足で アブがんが、えちばんだてぇ

      (ぐちゃっー)
雨が降ると道がぬかるので裸足で歩くのが一番だよ
このきっかぶつが、邪魔だなえ この切り株が、邪魔だね
そんげぇに、きづけぇしねぇで くんなせぇや
〔くらさいねぇ〕
そんなに、気遣いしないでくださいよ
もっと、きっつい(きっつえ)縄を使わんと危ねぇぞ もっときつい(丈夫な)縄を使わないと危険だよ
隣の嫁は、きっつい(きっつえんだんが、バサが かわげだてぇ
隣の嫁は、気が強いので、姑がかわいそうですよ
でっけえ餅でふたっぱ食ったらぎっつりしたえね 大きな餅で、二つ食べたら満腹になりました
あこのアニは、きったなおっかねぇ人間だて
      (汚い・怖い)
あそこの息子は、何をするか分からない不気味なところのある人間だよ
きったねぇ(きっちゃね)手をして、そこら触るなや 汚い手をして、その辺 触るなよ
きっとしか(きっとしゃ)、あえら泊まってくるがんだぜ おそらく、あの人たちは泊まってくるのですよ
ことしゃ きねぇを、えっぺぇおこしたすけ、オマエタにも やるえね 今年は葱の苗を、沢山おこしたから、あんた方にもやりますよ
ねら、はだけへ えってキビ(とうまめ)もえで来えや。ジロであぶってくれるすけ

おまえたち、畑へ行ってトウモロコシもいで来いよ。囲炉裏で焼いてやるから
おら、きびがわりすけ、えがねぇ

(バ行とマ行の混同)

ぼく、気味が悪いから行かない
また、きびしょの口をかかしたなえ また、急須の口を欠かしたね
おら、きみがわりすけ、手にあかぎりが切れて真綿なんか かまわんねぇがね
わたし、きめが悪いから、手にあかぎれが切れて真綿など触れられませんよ
あこのアニばっかしゃ、きめぇの いいオツコだ あそこの長男って、ほんとに気前のいい男だ
きめざけまで飲んだガンに、あのジサばっかしゃ、えまんごろになって断ってくるなんてなえ 契約の酒まで飲み交わしたのに、あのおじいさんばっかりは、今頃になって断ってくるなんてねえ
おまえばっかしゃ、きもやきですぐがっかがっか言うがんだんが あんたって、気が短くてすぐに大声で怒鳴り出すんだから
がっこできもんじらみの検査があったいね 学校で着物シラミの検査があったよ
そこのオトッツァは、何時ごろ けえってきゃる(きゃっしゃる)
お宅のお父さんは、何時ごろ帰っていらっしゃいます

このぎゃろ(ぎゃろめ)が、ワサして しっこぉした がんだえね この野郎が、いたずらして壊したのですよ
ぎゃろどもへるねどきだてがんに、すずかにせや 野郎ども、〔子供〕昼寝時だというのに、静かにしろよ
あのしとのは、はんぶんきやんめなんそ あの人のは、半分気の病なんですよ
きょばっかしゃ、あのガキ、きょせえてくれらぁ 今日ばかりは、あのガキ、をすえてくれるぞ
あこの子どもは、ぎょうさのいい子どもだ あそこの家の子どもは、しつけのいい子どもだ
おじさ、きょつけてえってきてくなんせぇ おじいさん、気をつけて行ってきてください
こどしは、きょんなより 大雪だのう 今年は、去年より大雪ですね
お寺さんが来られるすけ、でいをきれげかだずけておけや お寺さんがいらっしゃるから、客間をきれいに片付けておきなさい
ええ、こどしゃ、ダリヤがきれげにせぇたなえ あらまあ、今年はダリヤがきれいに咲いたこと
おら、でっけえきんえしへろったえやぁ ぼく、大きい黄鉄鉱石・黄銅鉱拾ったよ
歳をとったらきんかになって おおごと だえね 歳をとったら耳が遠くなって大変ですよ
オレたちは、さきおっとしな きんたまおとしを したがんだえね 私たちは、一昨々年、四十二の厄払いをしたのですよ
きんたまぜんめぇは、取るじゃねぇぞ

  (胞子葉)
ゼンマイの雄株は、取るものではないよ
きんな、味噌煮を しましたえね 昨日、味噌煮をしましたよ
こんげぇどこへ、ヘンビがきんぬいでらぁ こんな所に、蛇が脱皮しているよ
きんぴは、でぇじに使えや 化学肥料は、大切に使えよ
きんな、牛のきんぬぎをしてもらったえね

      (金玉・抜く)
昨日、牛の去勢をしてもらいましたよ
女っ子が んまれたから、きんのきえっぽ えうぇたえね 女の子が生まれたから、桐の木を一本植えましたよ