ノジコ
暮らしとの関わり
 石黒では「ストト」あるいは「アオストト」と呼んだ。春の囀りは美しく際だっている。上を向いて大きな口を開けて囀っている姿は良く見かける。
 あまりにも良く見かける鳥であるため、日本特産種で新潟県以外には余り見かけられない鳥であることは意外なことである。高柳町史の高柳の動物 序編にはノジコについて次のように記されている
〔前文略〕高柳では人目につき個体数も極めて多い。道路、川、畑等に隣接した山畔の低雑木林で繁殖している。しかし、高柳では普通に見られる種であっても、世界的に見ればまさに珍鳥である。本種は日本だけで繁殖する日本特産種であり、わが国全体を見てもその繁殖地域は局地的で、主に本州中部以北に限られている。新潟、長野の両県には多いとされているが、県内を例にとれば下越には少なく上越、中越地方に多い。その中で同じ様な環境であっても柏崎にはすくなく高柳から魚沼にかけて多いといったように繁殖地は局限されている。
 また、レッドデータブックで、危急種に登録されていることを知らない人が多いのではなかろうか。

〔写真2012.4.26下石黒〕

解 説
ホオジロ科
 日本特産種で標高200〜500mの山地の広葉低木林を好み、日本中部の日本海側の地方に多く分布する。新潟県に特に多い。〔全国の標識数の44%〕
 冬には九州、台湾、フィリピンなどに渡るものもいる。
 全長約14p。雌雄同色。アオジに似ているが一回り小さく目の回りに白輪があり嘴も小さい。〔右上写真〕
 巣は低木の茂みの中に腕状の巣をつくり、一腹3〜5個の卵を産む。日本以外の繁殖は確認されていない。
 日本でも青森が北限と言われている。餌は昆虫が主である。
 鳴き声は「ちーちょちょちーーち・・・」と聞こえる。
 近年では生息に適した環境が少なくなって、個体数が減少している。レッドデータブックでも危急種(VU)に指定されていることは余り知られていない。