消息往来
(大橋一成家文書)
用語の手引き
○
音信
※
一翰
→1通の手紙
※
帋
は紙の異体字
○
剪紙
○
孟夏
※不勝→
すぐれざる
とも読む
○
土用
○
林鐘
○
夷則
○
南呂
○
玄英
消息往来について
往来物の一種で著者は未詳。内容から室町時代初期の作といわれている。右筆寿哲が文明18年(1486)に書写したものが唯一の現在伝わっている写本であるといわれている。
賀茂参籠の後に招きたいと申し送る書状、四天王寺の塔供養に同道するように誘う書状など5条・9通より構成される武家用の書簡の手本である。
また、巻末には日常生活にかかわる単語集である「異名尽」を掲載する。なお、江戸時代になると、書簡文に常用される単語・短歌・短文を集めた「用語分類消息往来」(安永7年-1778)をはじめ、「消息往来」の名前を付して公刊された往来物の数はおびただしいものであった。
特に寛政5年(1793)に高井蘭山が編集刊行した「
凡消息者 音信を通 近所遠国 不限何事 人間万用を達之元也」
で始まる「消息往来」は、版を重ねて流布したのみならず、多くの類書を輩出して往来物そのものの発展普及に大きな役割を果たした。
(参考文献-国史大辞典)
読み下し文他文責 大橋寿一郎